「大雨が降るたびに、浸水しないか心配になる」
「止水板や止水シートを備えたいけれど、どれを選べばいいのかわからない」
そんな方も多いのではないでしょうか。
一口に「浸水対策」といっても、実は、浸水する原因や水が入ってくる場所によって、必要な対策は異なります。
たとえば、河川の氾濫によって大量の水が押し寄せる場合と、道路にたまった雨水が建物の出入口から流れ込んでくる場合では、必要となる備えは同じではありません。
そこでこの記事では、「5W2H」の考え方を使って水害を整理し、どのような場所に、どのような止水グッズが必要なのかをわかりやすく解説します。
浸水対策を考える前に、まず知っておきたいのが「内水氾濫」と「外水氾濫」です。
内水氾濫とは、降った雨を下水道や側溝などで排水しきれなくなり、道路や土地に雨水があふれる現象です。
短時間に大量の雨が降ると、排水設備の能力を超えてしまうことがあります。
すると、
といった被害につながります。
重要なのは、内水氾濫は川の近くでなくても起こり得るということです。
都市部では、周囲に大きな河川がなくても、局地的な大雨によって排水が追いつかなくなり、道路や住宅、店舗、工場などが浸水することがあります。
一方、外水氾濫は、河川の水が増水し、堤防を越えたり堤防が決壊したりすることで、河川の水が周辺にあふれる現象です。
河川の近くにある住宅や事業所などでは、特に注意が必要です。
このように、水害には大きく分けて、
があります。
では、なぜ浸水が起こるのでしょうか。
身近な場所で発生する浸水を考えるうえで、ポイントとなるのが、
「降る雨の量」と「排水できる量」のバランスです。
近年は、短時間に狭い範囲へ大量の雨が降る「ゲリラ豪雨」と呼ばれるような局地的な大雨が発生することがあります。
通常、降った雨は道路の側溝や下水道などを通って排水されます。
しかし、短時間に大量の雨が降ると、排水設備が処理できる量を超えてしまうことがあります。
イメージすると、
降ってくる雨の量 > 排水できる量
となったとき、行き場を失った雨水が道路や敷地にたまり、浸水につながります。
つまり、都市部の浸水対策では、「川が近いかどうか」だけではなく、「大雨が降ったときに雨水を排水しきれるか」という視点も重要なのです。
浸水によって起こる被害は、単に「床が濡れる」だけではありません。
水が建物内に入り込むと、
・床や壁、建具などが濡れる
・家具や商品、在庫が水につかる
・電気設備や機械設備が使用できなくなる
・自動車などが浸水する
・清掃や修繕、交換などに時間と費用がかかる
など、さまざまな被害につながる可能性があります。
特に店舗や工場、倉庫などでは、商品や設備が浸水すると、営業や生産そのものを止めなければならなくなることもあります。
だからこそ、浸水してから対応するのではなく、「水が建物内に入ってくる前に、どう防ぐか」を考えておくことが重要です。
止水グッズを選ぶとき、特に重要なのがこの「Where」です。
浸水対策では、「どこから水が入ってくるのか」を確認することが、商品選びの第一歩になります。たとえば、
住宅や店舗などでは、道路にたまった水が玄関や出入口から流れ込むことがあります。
工場や倉庫、店舗などでは、大きなシャッターや開口部が浸水経路になることがあります。
道路と建物の間に高低差がない場合、駐車場から建物へ水が流れ込むこともあります。
地下駐車場や地下室などは、周囲より低い位置にあるため、水が集まりやすい場所です。
壁の換気口、外壁の低位置にある通風口、基礎の隙間など、建物にはさまざまな「水の入口」があります。特にこれらからの浸水は、床下浸水の原因となります。
このように、止水対策では、
「浸水するかどうか」だけでなく、「浸水するとしたら、どこから水が入ってくるのか」
を確認しておくことが大切です。
「雨が強くなってから準備すればいい」と考えてしまいがちですが、浸水対策では事前の準備が重要です。
特にゲリラ豪雨のような局地的な大雨は、短時間で状況が変化することがあります。
そのため、
雨が降ってから止水グッズを探すのではなく、雨が降る前に「どこに設置するのか」「どのように設置するのか」を確認しておく
ことが大切です。
止水板や止水シートなどは、製品によって設置方法や設置に必要な時間も異なります。
いざというときに、「誰が、どこに、どのように設置するのか」まで決めておくと、より安心です。
浸水対策は、住宅だけの問題ではありません。
たとえば、
・一戸建て住宅
・マンション
・店舗
・工場/倉庫
・事務所
・病院・福祉施設・学校などの公共施設
など、さまざまな建物で必要になります。
また、同じ建物でも、「どの場所を守る必要があるのか」によって対策は変わります。
住宅なら玄関や車庫、店舗なら出入口、工場や倉庫ならシャッターなど、建物ごとに浸水リスクのある場所を確認してみましょう。
浸水対策には、大きく分けて、
「水を建物に近づけない」
「水が入ってくる場所をふさぐ」
という考え方があります。
たとえば、土のうや止水板、止水シートなどは、水の侵入経路をふさぐための対策です。
しかし、すべての止水グッズが、すべての場所に適しているわけではありません。
そこで重要になるのが、「どこを、どのくらいの水から守りたいのか」です。
止水グッズを選ぶときは、
「どの程度の浸水を想定するのか」
も確認しましょう。たとえば、
・道路から流れ込んでくる水を防ぎたい
・店舗の入口を広い範囲で守りたい
・工場や倉庫の大きな開口部を守りたい
など、想定する状況によって必要な製品は変わります。
また、止水板や止水シートには、製品ごとに対応できる水位や設置条件があります。
「止水グッズなら何でもいい」ではなく、自分の建物の浸水リスクに合ったものを選ぶことが大切です。
ここまでの内容を整理すると、止水グッズを選ぶときには、次の5つを確認するとよいでしょう。
玄関、店舗の出入口、基礎、通風口、シャッター、車庫など、浸水経路を確認します。
内水氾濫なのか、河川氾濫なのか。周辺の水害リスクを確認します。
過去の浸水状況やハザードマップなどを参考に、想定する浸水の深さを確認します。
大雨の中でも設置できるのか、設置にどれくらい時間がかかるのか、保管場所は適切かなども重要です。
出入口の幅や段差、床面の状態、シャッターなどの開口部の形状によって、適した止水グッズは変わります。
水害は、いつ、どこで起こるかわかりません。
そして、浸水対策で大切なのは、単に「止水グッズを買うこと」ではありません。
自分の建物では、どこから水が入ってくる可能性があるのか。
どの程度の浸水を想定するのか。
その場所に、どのような止水グッズが適しているのか。
この順番で考えることが重要です。
まずは建物の周りを一度確認してみてください。
「ここから水が入ってきたら困る」という場所が見つかったら、そこが浸水対策を始める場所です。
次の章では、玄関・店舗の出入口・シャッター・車庫など、建物の場所や構造ごとに、どのような止水対策が考えられるのかを詳しく解説します。